目的:本研究は、介護保険施設において、2018年度介護報酬改定後の栄養ケア・マネジメント(以下、NCM)
のあり方とアウトカム(低栄養、誤嚥性肺炎による入院、施設内看取り及び在宅復帰)の関連について、横断
調査から検討した。
方法:特養1,928施設、老健1,126施設を対象とし、無記名調査票を郵送した。入所者100名あたりの過去1 か
月間の「低栄養の中・高リスク者数」、「誤嚥性肺炎による入院者数」、特養での過去1年間の「経口維持の施設
内看取り者数」及び老健での過去1 か月間の「在宅復帰者数」を結果変数とし、「低値群」(中央値以下)vs「高値
群」(中央値より大きい)に関連するNCM 関連要因を予測変数、入所者数及び平均要介護度を調整変数とした
多変量ロジスティック回帰により分析した。
結果:解析対象は特養283施設、老健181施設であった。「低栄養の中・高リスク者の低値群」と関連するNCM
関連因子は、「経口維持加算(Ⅰ)算定あり」、「ミールラウンド実施あり」、「文書による栄養情報連携あり」、「入
所前及び退所後の医療機関等との栄養情報連携あり」であった。同様に、各アウトカムとNCM プロセスが関
連していた。
結論:介護保険施設において、NCM 関連加算の算定、ミールラウンドを始めとした多職種による経口維持の
取組み、栄養情報連携の推進等によるNCM の取り組みが良好なアウトカムと関連することが示唆された。
キーワード:介護保険施設、栄養ケア・マネジメント、低栄養、経口維持、在宅復帰
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