目的:本研究は、在宅サービス利用高齢者における低栄養状態と2年間の死亡、入院、入所の発生率との関
連を明らかにすることを目的とした。
方法:神奈川県横須賀・三浦地域の居宅介護支援事業所勤務の介護支援専門員80名が担当する在宅サービス
利用高齢者のうち、登録時基本調査に回答した532名を登録者として2年間の追跡調査を行った。基本調査と
して、要介護度等の基本情報、低栄養の有無(体格指数:BMI)、基礎疾患の有無等を調査した。追跡調査で
は2年間の死亡、入院、入所の各イベント発生の有無を調査した。追跡調査票が回収できた509名を解析対象
とし、登録時の低栄養の有無(低栄養群:BMI<20;栄養状態良好群:BMI ≧20)と2年間の死亡、入院、入
所の各イベント発生との関連をCox 比例ハザード分析により検討した。
結果:追跡期間中に死亡した者88名(17.3%)、入院した者199名(39.1%)、入所した者91名(17.9%)であった。
Cox 比例ハザード分析の結果、低栄養群は栄養状態良好群に比べ、死亡のハザード比は2.21(CI : 1.40-3.49)、
入院のハザード比は1.60(CI : 1.18-2.16)と有意に高かった。低栄養状態と入所の発生は有意な関連が認めら
れなかった。
結論:横須賀・三浦地域在宅サービス利用高齢者において、低栄養状態は2年間の死亡および入院リスクを
有意に高めることが明らかになった。
キーワード:高齢者、低栄養状態、BM I、生命予後
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