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日本健康・栄養システム学会誌
Online ISSN : 2758-3309
Print ISSN : 2432-3438
15 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • -経口移行加算、経口維持加算()、経口維持加算()、看取り関連加算の体制と1年間の経口摂取による看取り数との関連-
    新出 まなみ, 杉山 みち子, 梶井 文子, 葛谷 雅文
    2015 年 15 巻 2 号 p. 4-11
    発行日: 2015年
    公開日: 2023/07/24
    ジャーナル フリー
    目的:介護保険施設において、入所高齢者の最期まで「食べること」を支援し看取ることが高齢者のQOL の向 上につながるという立場にたって、終末期の栄養ケア・マネジメント(以下、NCM)について、体制のアウト カムに対する有効性を検証した。 方法:介護保険施設1,185施設(特養746施設、老健439施設)を対象に調査票の郵送式調査を行った。「経口移 行加算」「経口維持加算Ⅰ・Ⅱ」及び「看取り介護加算」「タ-ミナルケア加算」(以下、看取り関連加算)等の取 得の有無を説明変数とし、「入院者」、「看取った者」、「最期まで経口摂取を維持して看取った者」の人数/100床 / 年を目的変数とし、施設種を調整をした単変量ロジスティック回帰により分析した。 結果:有効回答を得た242施設(20.4%)を分析し、「経口移行加算」取得「有」は「施設での看取った者」の増加、 「経口維持加算Ⅱ」の取得「有」は、「経口摂取を中止した者」の減少、「看取り関連加算」の取得「有」は、「入院者」 の減少、「施設で看取った者」及び「最期まで経口摂取を維持して看取った者」の増加に有意に関連していた。 キーワード:介護保険施設、栄養ケア・マネジメント、経口移行、経口維持、看取り
  • 野田 茉里奈, 馬嶋 真子, 若尾 昌子, 篠田 和典, 森奥 登志江, 加藤 昌彦
    2015 年 15 巻 2 号 p. 12-19
    発行日: 2015年
    公開日: 2023/07/24
    ジャーナル フリー
    本研究は、臨床栄養師が在籍する介護老人保健施設入所高齢者において嚥下障害と栄養状態、日常生活 動作( ADL )、認知機能および予後との関連を明らかにすることを目的とした。  対象は65 歳以上の介護老人保健施設入所高齢者140 例とした。対象者を水飲みテストによって、嚥下障 害なし群( 31 名)、嚥下障害疑い群( 79 名)、嚥下障害あり群( 30 名)の3 群に分け、これら3 群において、 エネルギー摂取量、栄養状態、ADL 、認知機能、要介護度、基礎疾患および食形態を評価した。さらに、 調査開始時から2 年間の追跡調査を行い、イベント(急性期病院に転院となる重大事象および死亡)の発現 率を明らかにした。  研究開始時において、現体重当たりの摂取エネルギー量は3 群間に有意な差を認めなかったが、嚥下障害 なし群と比して嚥下障害あり群はBMI 、% 下腿周囲長、Mini Nutrition Assessment -Short Form スコア、 ADL および認知機能が有意に不良であった(全てp<0.01 )。  2 年間の追跡調査において、イベント発現率は嚥下障害が高度になるにつれて23% から27% 、47% と有 意に増加しており( p<0.01 )、嚥下障害あり群は、嚥下障害なし群に比べイベント発現リスクが2.80 倍と有 意に高く、累積イベント発現率も高い傾向がみられた( p=0.085 )。  これらの結果より、嚥下障害のある高齢者は、嚥下障害のない高齢者と比して栄養状態、ADL および認 知機能が低く、長期的にみるとイベント発現率が高く予後不良であることが明らかとなった。 キーワード:介護老人保健施設,嚥下障害,栄養状態,日常生活動作,予後
  • -経口摂取を継続して看取った要介護高齢者の終末期(看取りまでの1 年間)の体重、食事摂取状況-
    新出 まなみ, 杉山 みち子, 梶井 文子, 高田 健人, 葛谷 雅文
    2015 年 15 巻 2 号 p. 20-26
    発行日: 2015年
    公開日: 2023/07/24
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:要介護高齢者に対する経口維持での終末期の栄養ケア・マネジメントの推進に寄与するために、介 護老人福祉施設(特養)において経口維持で看取った要介護高齢者の終末期(看取りまでの1 年間)の体重及 び食事摂取状況の変化を明らかにし、終末期における栄養ケア・マネジメントの目標設定の見直しについ て検討した。 方法:特養において最期まで経口摂取を継続して看取った既存の栄養ケア・マネジメント関連帳票一式(複 写)を郵送回収し、記載の有効な20 施設100 事例(男性22 名、女性78 名)のBMI 、体重減少率、食事摂取率 について死亡時12 か月前をベースラインとして、死亡時9 か月前、6 か月前、3 か月前、1 か月前の5 時点 を比較した。 結果:死亡時1 年前に対して1 か月前の体重減少率は男性で-7.1% 、女性で-8.8% と大きく、食事摂取率は、 男性で-21.7% 、女性で-23.1% 有意に低下していた。 結論:施設で経口摂取を継続して看取った要介護高齢者の終末期において、BMI 、食事摂取率が低下し、 体重減少率が大きいことが明らかとなった。 キーワード:介護保険施設、栄養ケア・マネジメント、看取り、体重、経口摂取
  • -最期まで経口摂取を継続して看取った入所高齢者の終末期と看取り期の栄養ケア計画の実際-
    新出 まなみ, 杉山 みち子, 梶井 文子, 葛谷 雅文
    2015 年 15 巻 2 号 p. 27-32
    発行日: 2015年
    公開日: 2023/07/24
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:介護老人福祉施設において,最期まで経口摂取を継続して看取った事例に関して,管理栄養士の作 成した終末期及び看取りの栄養ケア計画の内容を,「チェックリスト」に基づき明らかにする。 方法:介護老人福祉施設において最期まで経口摂取を継続して看取った事例の既存のNCM 関連帳票一式 (複写)を郵送回収し,記載の有効な20 施設100 事例(男性22 名,女性78 名)の管理栄養士による死亡前1 年間の栄養ケア計画記録の全文を経時的にデータ入力した。栄養及び看護領域の2 名のスーパーバイザー のもと,2 人の担当者が「要介護高齢者の「食べること」を支援し看取るためのチェックリスト」(以下, チェックリスト,梶井ら,2013 )の項目( 37 カテゴリー)に基づいて,演繹的にカテゴリーに分類し,各カ テゴリーに該当した栄養ケア内容の数を終末期(死亡時1 年前)と看取り期(死亡時1 ヶ月前)別に集計し, SPSS を用いてχ 2 検定を行った。 結果:終末期,看取り期の栄養ケア内容を「チェックリスト」に従って分類し,37 カテゴリー中15 カテゴ リーが把握され,終末期,看取り期ともに「2-1 .栄養補助食品を追加する」が最も多く5 割以上,次いで, 「2-6 .誤嚥を防止するために形態を嚥下しやすい状態で提供する」4 割以上,「1-12 .無理はせず,身長は 年1 回,体重は月に1 回の計測を行う」約4 割みられた。看取り期に栄養ケア計画を修正している事例が22 例あり,看取り期には「3-1 .無理しない程度に、電解質・水分を重視する」が増大していた。 結論:終末期のNCM においては,無理しない程度の身体計測,電解質・水分補給の重視,嗜好や体調の変 化に合わせた食べ物の追加や適切に適宜提供できる栄養ケア体制について検討していくことが必要である と考えられる。 キーワード:介護老人福祉施設,栄養ケア・マネジメント,看取り,栄養ケア計画,チェックリスト
  • 早瀬 須美子, 山中 克己, 松下 英二, 伊藤 勇貴, 安友 裕子, 庄司 吏香, 須崎 尚, 井形 昭弘
    2015 年 15 巻 2 号 p. 33-40
    発行日: 2015年
    公開日: 2023/07/24
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:都市における独居(一人暮らし)高齢者の健康意識と食生活の現状を明らかにする。 方法:名古屋市内の,3 地域の老人クラブなど地域団体の高齢者を対象に,留め置き法によるアンケート調 査を実施した。調査内容は健康状態,食行動,食事内容,食生活に対する自己評価および改善意欲とした。 対象者を男性同居者,男性独居者,女性同居者,女性独居者の4 グループに分けて検討した。 結果:436 名の調査協力を得た。このうち,70 歳以上の301 名(男性69 名,女性232 名)について解析した。 男性同居者は58 名,男性独居者は11 名,女性同居者は134 名,女性独居者は98 名であった。独居者の割 合は全体では36.2 %(男性15.9 %,女性42.2 %)であった。居住条件「同居,独居」により食事摂取に差が認 められた。特に男性がその影響を強く受けていた。食事内容として,主食(ごはん,麺,パンなど),主菜(肉, 魚,卵,大豆など),副菜(野菜炒め,サラダ,お浸しなど)の3つのそろった食事を,バランスの良い食事 と定義した。男性独居者は朝食と昼食については栄養バランスを崩している傾向が伺えた。夕食について も,栄養バランスのとれている割合は男性同居者,女性同居者および独居者は約90 % であったが,男性独 居者の割合は82 % であり,やや低かった。果物および乳製品を毎日摂っている割合は男性独居者で低かっ た。さらに,男性独居者は外出頻度,食料品の買物,調理頻度が少なく,外食の割合が高い傾向にあり,食 事に対する自己評価および改善意欲も低かった。しかし,食事に対する自己評価が高い男性独居者は,3 食とも副菜を摂取している割合が有意に高く,反対に低い者は,共食頻度,乳製品の摂取が有意に低かった。 健康感については,健康度が良いと答えた割合は,男性独居者では低く, 食事に対する改善意欲も低かった。 しかし,肥満頻度については,男性同居者,女性同居者,女性独居者では肥満の者が14-21 % であるのに対し, 男性独居者の肥満者は居なかった。 結論:男性独居者の食事内容は栄養学的にバランスを崩している傾向にあった。さらに食事に対する自己 評価および改善意欲も低かった。 キーワード:独居高齢者,食生活,健康意識
  • 兒島(森澤) 茜, 森奥 登志江, 小多 沙知, 馬嶋 真子, 加藤 昌彦
    2015 年 15 巻 2 号 p. 41-46
    発行日: 2015年
    公開日: 2023/07/24
    ジャーナル オープンアクセス
    唐辛子品種「CH-19 甘」に含まれるカプシエイト類の経口摂取が,若年女性の冷え症改善に有用かを検討 した。若年女性10 名( 21.5 ± 0.5 歳)を対象とし,全研究期間を5 月~ 7 月までの8 週間とした。研究開始か ら4 週間は1 日1 回カプシエイト類4.5mg を経口摂取させ,その後4 週間は摂取を中止した。研究開始時,4 週間後および8 週間後に四肢末梢部の皮膚温および安静時エネルギー消費量を測定し,冷え症に関連する不 定愁訴を調査した。カプシエイト類の4 週間の経口摂取は,若年女性の四肢末梢部の皮膚温を上昇させ,冷 え症に関連する不定愁訴を改善させた。しかし,これらの効果は,カプシエイト類摂取の中止により速や かに消失した。一方,安静時エネルギー消費量は,有意な変動を認めなかった。本研究の結果は、カプシ エイト類の経口継続摂取は,若年女性の冷え症改善に有用であることを示唆する。 キーワード:冷え症,皮膚温,不定愁訴,カプシエイト類
  • 麻植 有希子, 吉田 智, 合田 敏尚
    2015 年 15 巻 2 号 p. 47-53
    発行日: 2015年
    公開日: 2023/07/24
    ジャーナル オープンアクセス
     要介護高齢者の多くは慢性疾患を持ち,体調の崩れなどが原因で起こる食事量の低下や運動量の低下に よって骨格筋量が減少し,その結果,転倒のリスクが増大し,低栄養状態に陥る危険性が増大する。また, 低栄養は免疫低下による感染や疾病の治癒遅延など,高齢者の予後を悪化させることが知られている。本 研究では高齢者施設に入居する61 歳から106 歳まで(平均年齢86.7 ± 6.2 歳)の要介護高齢者1,823 名を対象 とし,栄養状態と血液生化学検査指標,認知症高齢者の日常生活自立度,介護度,食事の形態の関連性を 検討した。  GNRI を用いて評価した低栄養リスク者は,男性67.0 %,女性が66.2 % であった。介護度が上がるにつ れてGNRI は低下する傾向を示し,男性においては介護度4以上の群で著しく低下し,女性においては介護 度2以上で低下した。認知症高齢者の日常生活自立度が下がるにつれてGNRI は低下する傾向を示し,日 常生活自立度Ⅲ a 以上のグループでは,GNRI は日常生活自立度Ⅱbまでのグループに比べて有意に低かっ た。また,提供している食事の形態が常食から一口大食,軟菜食,ソフト食,経管食へと嚥下機能の低下 に対応した食事になるにつれて,GNRI の指標も低下した。本研究の結果より,高齢者施設における要介護 高齢者の栄養状態は介護度や認知症高齢者の日常生活自立度,食事の形態と関連性があり,日常生活に必 要な身体機能等の低下に影響をおよぼす可能性が示唆された。 キーワード:栄養評価,高齢者,低栄養,高齢者施設
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