目的:介護老人福祉施設において,終末期にある高齢者が最期まで経口摂取をあきらめずに「食べ
ること」を支援するために,医師・看護師・管理栄養士・介護職による栄養ケア・マネジメントの構造とし
ての栄養ケア内容の妥当性を検証した。
方法: 17 施設の平均協力人数は,医師は8 名,看護師は15.3 名,管理栄養士は16.7 名,介護職14.3 名であっ
た。デルファイ法により,163 項目の「食べること」を支援する看取りのための栄養ケア・マネジメント項目
に関する質問紙調査を3 回実施し,第3 回目は,全138 項目のうち,全職種共通の「終末期以降の病態のア
セスメント」17 項目,「本人と家族のニーズのアセスメント」16 項目,「施設体制についての内容」29 項目の他,
各職種の栄養ケア関連項目として医師8 項目,管理栄養士40 項目,看護師18 項目,介護職10 項目となった。
結果:内容妥当性指数が0.8 % 以上の項目が127項目(92.0 %)に確認された。職種間で共通してアセスメント
が必要な終末期以降の病態,本人家族のニーズの把握に関する内容と方法,施設内での体制,各職種内での専門
的な栄養ケアに関する具体的な項目について,一定の水準以上の内容妥当性指数と,評価者の一致を確認できた。
結論:多職種間で合意された終末期の高齢者の食べることを支援する栄養ケア内容は,各職種の具体的な
役割を明確にするととともに,多職種間における栄養ケア実践の質の向上につながると示唆される。
キーワード:介護老人福祉施設,終末期,栄養ケア・マネジメント,多職種,デルファイ法
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