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Jp 02

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欠陥管理

生産性向上とテストウェーハのコスト削 減に向けて Ming Li, Lisa Cheung, and Mark Keefer – KLA-Tencor Corporation

Surfscan SP2検査装置を使用すると、テストウェーハの再利用回数を増やすことができ、これにより新品のテストウェーハの 投入量や最研磨回数を減らすことができ、ひいてはファブ全体での製造コストを低減できる。大規模なファウンダリでは、こ の新しい方法によってウェーハの再利用回数を改善し、再利用回数を15%改善することができた。これにより年間300万ドル を超えるコスト削減につながった。 現在のウェーハ製造工場では生産性を向上すると同時に変 動コストを削減する必要に迫られている。ある特定の分野 ではプロセスコントロール(計測および検査)装置を用いるこ とによって、変動コストを最小限に抑えられるところがあ る。ひとつめは、テストウェーハという消耗品の削減であ る。利益に直結しないテストウェーハの消費量を抑えるこ とで変動コストを抑えることができる。ふたつめはプロセ ス装置の生産性を向上させることである。年間のメインテ ナンスサイクルの回数を減らすことと、誤った異常アラー ムによるダウンタイムを短縮することによって変動コスト を抑えられる。この論文では、これらの考えを詳しく検討 して、先端の65nmデザインルールファウンダリでテストウ ェーハのコストを削減するための効果的な方法を探る。 プロセス装置の監視

一般に、パターンなしテストウェーハ(あるいはモニター ウェーハ)の欠陥数を測定してプロセス装置の稼動状態を 監視するのはつぎのようなときである。定期点検(プリベ ンティブ・メンテナンス)の後、または製品ウェーハの投 入前、または量産期間中の定期検査時、あるいは各製造シ フトの前でのツール監視をするときなど。したがって、パ ターンなし検査装置は、定期点検後、または予定外のダウ ンタイムの後でプロセス装置を再検査するために実施し、 プロセス装置の異常を迅速に診断するためにもちいるので ある。さらに、新しく導入したプロセス装置の評価にも用 いられ、さらにはプロセス装置をラインから外すかどうか という深刻な問題につながる装置からのコンタミネーショ ン問題(ツールダウン問題)の診断を行うためにもパターンな しウェーハ検査ツールは使われている。 フロントエンドのような、クリティカルディメンジョンが 微細でありより高い検査感度が必要とされるところではプ ロセス装置モニタリングで使用するウェーハは非常にグレ 2007年冬号 歩留まり管理ソリューション

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ードが高い。プロセスモニタリングにおいては、このよう なハイグレードなテストウェーハを1プロセスあたり1枚使 用している。プロセス装置(プロセスチャンバをアクティブ にした状態またはアクティブにしない状態で)で処理するテ ストウェーハを処理前後で検査することで、検査前後の欠 陥数を引き算する計算方法、またはより高度な方法として はマップ間欠陥オーバレイ比較を使用して計算する(参考文 献1)方法によって、追加欠陥がどのようなものであるかを評 価する。このような方法によってプロセス装置内で処理さ れたことによって追加された欠陥数が明らかになり、Particls Per Wafer Pass (PWP)を得ることができるようになる。 プロセス装置監視手順

プロセス装置モニタリング手順の最初のステップでは、テ ストウェーハをグレード別にビンに割り当てる。グレード (通常はA、B、C)は、さまざまな監視アプリケーションに 応じたテストウェーハの品質を表す。微細なサイズの異物 は、表面が粗いウェーハ上よりも滑らかなウェーハ上で確 実に検出できるので、この場合はその表面の粗さである。 表面の粗さは通常、検査ツールを使用してヘイズを検出す ることによって測定する。ヘイズは、ウェーハの表面から 散乱した光の低周波かつ低振幅の成分である。ヘイズは ppm単位で測定する。ppmは、入射レーザビームの強度に対 する表面の平均散乱強度の比率である。ベアウェーハの場 合、ヘイズは表面の粗さと高い関連がある(透過膜が存在す る場合、ヘイズには膜パラメータの変動も含まれる)。 次のステップは、実際のプロセス装置モニタリングのステ ップであり、処理前検査と処理後検査を比較し、追加欠陥 を数量化する。テストウェーハは最表面を化学的に洗浄す ることでプロセス装置で追加された膜レイヤと異物が除去 され、次の装置モニタリングのために再利用できるように なる。化学的洗浄により、表面の粗さまたはヘイズ(図1の上 側のループ)が大きくなったら、テストウェーハのグレード 11


欠陥管理 In-house chemical clean Regeneration area SP1 Inspection

Test wafers

Pre SP1 Inspection

Grade A, B, C

PWP < X

Post SP1 Inspection

Process

Grading

を変更する必要がある。リサ イクル処理を一定の回数行っ た後、テストウェーハが最も 粗いグレードの仕様を満た さなくなったら、再生(再研 磨)またはスクラップに送る (図1の左下のループ)。

A < X1 counts <Y1 ppm B < X2 counts <Y2 ppm

モニタウェーハの寿命改善

C < X3 counts <Y3 ppm

Scrap $300/wfr

Re-polish $30 / wfr

New wafers

Reclaim 1

Reclaim 2

Reclaim 3

A

B

C

Grade

欠陥検出感度は、欠陥信号と そのバックグラウンドノイズ の比率によって決まる。バ ックグラウンドノイズ(ヘイ ズ)が検出スレッショルドに近 づくにつれて、S/N比が低下 する(図2の左)。誤検出を極力 おさえるためには高い欠陥S/ N比(通常3以上)が望ましい。

Roughness

図1:テストウェーハを使用したプロセス監視ループ

Threshold Laser scattering signal (ppm)

Laser scattering signal (ppm)

Threshold

Noise Haze

Haze

Scan position

Scan position

図2:低へイズ値(左)および高へイズ値(右)のウェーハに関するウェーハの表面の粗さ(ヘイズ)と検査感度の関係。 注:ノイズはヘイズに比例する

Surfscan SP2

Surfscan SP1

図3:表面が粗いウェーハの感度の比較。最も微細な欠陥のS/N比が3を超える状態で、左側のSurfscan SP1マ ップは、大部分が疑似欠陥を示している一方で、右側のSP2マップは、大部分が実際の欠陥を示している

SP1 HT Mode S/N vs. Wafer Haze Level 18

12

Low Haze Medium Haze High Haze

acceptable inspection window

15

S/N Ratio

S/N Ratio

15

SP2 HT Mode S/N vs. Wafer Haze Level 18

9 6 3

12

Low Haze Medium Haze High Haze

acceptable inspection window

9 6 3

0

0 0.06

0.07

0.08

0.09

0.10

0.11

0.12

0.14

0.13

Defect Size (µm LSE)

0.15

0.06

0.07

0.08

0.09

0.10

0.11

0.12

0.13

0.14

0.15

Defect Size (µm LSE)

図4:さまざまなサイズの欠陥に関するS/N比とウェーハのヘイズレベルの比較(Surfscan SP1が左、SP2が右)。 許容できる検査ウィンドウは、S/N比が3を超え、欠陥サイズが88nm LSEを下回る

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ただし、ウェーハ表面の化学 洗浄(リサイクル)を繰り返し て、テストウェーハの表面の 粗さとヘイズが大きくなるに つれ、ウェーハの表面で微 細な欠陥を検出するための S/N比が低下する。ある検査 ツールの結果を別のツールに 適合させるというような製造 現場の検討事項では、検査感 度のスレッショルドを一定の 値に保つことが指示されてい る。そのため、図2(右)から わかるように、検出スレッシ ョルドを大きくすることで、 増加したバックグラウンドノ イズを抑制することはできな い。したがって、特定のテス トウェーハで行うリサイクル 処理の回数は、表面の粗さが どの程度大きくなるかによっ て制限される。 ここで必要なのは、微細な 欠陥に対する検査におい て、表面が粗いウェーハで もS/N比を高める方法を実現 することである。最新世代 のウェーハの表面検査装置 であるSurfscan SP2は、旧世 代 のSP1よりも微細なスポッ トサイズを備えている。した がって、微細な欠陥にスポッ トのフォーカスを合わせると き、スポットに含められる背 景が小さくなる。そのため、 Surfscan SP2は、粗いウェーハ 上での感度がSP1よりも向上 している。図3に、複数回リ サイクルされた高へイズウェ 12


欠陥管理

Recycle rate

from 70% to 85%

In-house chemical clean $5 / water recycle

Regeneration area SP2 Inspection

Test wafers

Pre SP2 Inspection

Grade A, B, C

PWP < X

Post SP2 Inspection

Process

$75K/month

SP2 Reclaim 1 Scrap $300/wfr

New wafers

Reclaim 2

Reclaim 3

A

B

Re-polish $30 / wfr 20%

10%

5%

Grade

SP2検査装置を配置した。 Surfscan SP1検査で表面粗さが グレードBカテゴリであった ウェーハは、現在のSP2検査 ではグレードAカテゴリとな っている。その結果、同一ウ ェーハを化学洗浄センターで 洗浄することによりリサイ クルできる回数が増えた。 ここで実際のリサイクル率 は15%上昇したと見積もられ た。このリサイクル率の上昇 は、再研磨の必要回数の低減 と対応している(図5)。

この改善されたリサイクル率 の数字をもちいると、コスト 削減効果を次のように見積 もることができる。月産2万 5千枚の300mmファウンドリ で、テストウェーハの使用 量が量産レートの3倍の7万 5千枚という前提で、Surfscan SP2の導入により施設内リサイ クル量が15%改善し最研磨量が15%削減できたとする。この ケースでは、表1のとおり年間約300万ドルのコスト削減に つながっている。このモデルは、さまざまなウェーハ投入 数、テストウェーハ使用量などに合わせて調整できる。 Roughness

図5:ウェーハのリサイクル率の純増加

ーハを、Surfscan SP1検査装置(左)とSP2検査装置(右)でスキャ ンしたときのそれぞれのマップを示す。SP1のマップでは、 S/N値が低いために疑似欠陥が相当数あることがわかる。ま た、実際の欠陥を捕捉するように設定された検査スレッショ ルドは、ヘイズ信号のピークを捕らえている。一方、SP2の マップでは、その優れた感度によって、ヘイズレベルよりも かなり高くスキャンスレッショルドを設定できるので、疑似 欠陥が大幅に減っていることがわかる。信号を強化し、ノイ ズをさらに抑制するSurfscan SP2の機能によって、このタイプ の検査が可能になり、テストウェーハを再生またはスクラッ プするまでより長期間にわたってリサイクルできる。 さまざまなヘイズレベルをもつウェーハをもちいてSP1およ びSP2のS/N比を解析した。この結果を図4に示す。グラフの 左上にあるのが、許容できる「検査ウィンドウ」である(S/ N比が3以上で88nm以上の感度を達成)。High Throughモー ドでは、SP1ではMediumヘイズ、Highヘイズウェーハでは 88nmの欠陥感度で3:1のS/N比の条件を満たすことができな い。SP2では、強化された感度とバックグラウンドノイズ抑 制機能により、高ヘイズウェーハの使用時でも高スループ ットモードで必要な感度を達成できる。

まとめ

さまざまなコスト削減によってウェーハファブの生産性 が向上するが、そのなかでも特にテストウェーハの再利 用回数は、プロセス装置モニタリングのコスト削減に直 接影響を与えている。本論文では、旧世代のツールに代 えてSurfscan SP2検査装置を使用することで、モニタウェー ハの再利用回数を増やすことができ、これにより新品テ ストウェーハの調達を削減することで、コストを削減で きることを明らかにした。また、このコスト削減による 費用効果に加えて、表面が粗い再生ウェーハから生じる 誤った異常検出アラームによる製造中断を抑えることも できるようになり、そのような意味でもファブの製造現 場の生産性を高めることができることがわかった。 謝辞

費用効果

図4より、Surfscan SP2をもちいれば、表面の粗いウェーハ上 でも十分な感度とS/N比を達成できることがわかった。こ の結果をうけて、同ファブの施設内再生センターに専用の

この論文は、上海(2006年8月)および北京(2006年9月)にお けるKLA-Tencorイールドマネジメントセミナーで最初に発 表された。

ウェーハタイプ

リサイクル

再生

スクラップ

テストウェー

参考文献

ウェーハのコスト

$5

$30

$300

ハの総コスト

ウェーハ投入量 (合計75,000枚)

52500 → 63750

15,000 → 3,750

7,500

リサイクル率(SP1)

70%

20%

10%

296万ドル

リサイクル率 (SP1+SP2)

85%

5%

10%

268万ドル

1. Lorrie Houston, Motorola; John Anderson, Motorola; Rhonda Stanley, KLA-Tencor; Process tool qualification using SP1TBI automated overlay feature, KLA-Tencor Surfscan Applications Note (2002).

月間コスト削減額

$56,250

$337,500

変化なし

28万ドル

表1:ウェーハリサイクル率の上昇による月間コスト削減額(推定):28万ドル、年間コスト削減額:336万ドル 2007年冬号 歩留まり管理ソリューション

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