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「公共工事調べろ」端緒は官僚の一言 調査報道の舞台裏

インフラコストの深層 NIKKEI Investigationまとめ読み

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「変更契約を調べてみては」。3年前の秋、国費の無駄遣いを取材する記者に、旧知の官僚がヒントをくれた。変更契約は公共工事の費用を着工後に増額する手続き。やむを得ず追加工事が必要になる場合はあるが、取材で見えてきたのは、見積もりの甘さや調整不足を背景としたずさんな「後出し増額」の実態だった。調査報道シリーズ「インフラコストの深層」の舞台裏をまとめた。

公共工事ではまず発注者の国が工事費を見積もり「予定価格」を決める。その額を上限として競争入札を実施し、参加業者の「入札価格」などを考慮して、受注業者を決めるのがルールだ。

工事は受注業者の「落札価格」の範囲内で進む。だが近年、着工後に多額の増額が発生する公共工事が頻発していると官僚は明かした。

まず取り組んだのが全体像の把握だ。道路やダム、トンネル、河川――。国が発注する大型工事の計画当初と直近の事業費を比較できる資料があれば、増額の実態が分かるはずだ。

国土交通省の道路、水管理・国土保全、港湾の各局を訪ね、ホームページ(HP)で公表されていない資料の提供を求めた。粘り強く交渉した結果、提供されたデータの分析で判明したのは、物価高を上回る増額の多さだった。2023年12月、「インフラコストの深層」第1弾はこの問題からスタートした。

なぜ、これほどの増額が発生するのか。詳しい分析には「変更契約」の契約書類が必要だ。国交省地方整備局の多くはHPで契約内容を公表していない。ならば請求するまでだ。全国9カ所の地整局に、落札額が10億円以上の公共工事247件(2018〜20年度)の関係書類を情報公開請求した。

各地の地整局から届く開示文書を調べるうち、思わぬ発見があった。東日本大震災の復興工事で、競争入札や随意契約(随契)を経ず、既存の別工事に費用を上乗せする形で施工した工事が岩手県と福島県で計5件見つかった。

会計法は政府調達の競争性を確保するため、受注を希望する業者が広く参加できる競争入札を原則としている。なぜこのような契約が認められるのか。

発注者の東北地整局は取材に対し、復興支援道路の開通時期に間に合わせるため、やむを得ない措置だったと釈明した。だが、複数の専門家が「会計法令に抵触する可能性がある」と問題視した。緊急性のある場合など特定の業者と随契を結ぶ場合もあるが、別工事の受注業者に直接工事を依頼し、費用を別工事に上乗せする手法は異例だ。

掲載した第2弾への反響は大きかった。

この手法は14年、太田昭宏国交相(当時)らが出席した「復興加速化会議」の配布資料で、東北地整局が示したものであることも分かった。会議から約10年。公共工事のルールを逸脱した運用が繰り返されていた可能性が浮上した。

記事公開の翌日(20日)の閣議後記者会見。斉藤鉄夫国交相は「復興事業の工事であり、迅速な復旧工事の必要性の観点から早急に行うべきだと判断した」と説明し、会計法の趣旨には反しないとの認識を示した。そのうえで「手続きの透明性を確保することは重要。適切な仕組みづくりに努めたい」と言葉を継いだ。

増額の頻発は公共工事の「費用対効果」も悪化させている。国の公共工事は、経済・安全効果を総費用で割った費用対効果指数が「1」をどれくらい上回るかが採択の判断材料となる。指数が高いほど価値のある事業とみなされる。

国交省の公表データをもとに、検証可能な約1200事業を調べると、5割の事業で指数が低下し、「1」を下回る事業も46件あった。指数が悪化した工事には、費用を過少に見積もったり、効果を過大に評価したりしていたものもある。本来、事業の要否を判断するための指標が「機能不全」に陥っていた。

国の公共工事には着工後の増額上限を当初契約額の30%までとする「3割ルール」がある。戦後の高度成長が続く1969年、財政規律を保ち、契約後の増額による入札制度の形骸化を防ぐために導入されたルールとされる。

増額が3割を超えた場合、一部の例外を除き、入札や随契で別契約を結ぶ決まりだが、情報公開請求で得た資料を調べると、落札額が10億円以上の247件(2018〜20年度)のうち、45件(18%)がルールを逸脱していた。

これまで注目されにくかった着工後の増額を巡る問題。要因の一つに情報開示の遅れがある。地整局のHPを調べると、2月時点で変更契約を公表しているのは北海道開発局と中部地方整備局のみ。関東や近畿など残る7地域は庁舎で契約書類を閲覧するか、情報公開請求しなければ、契約内容はおろか存在すら確認できないのが現状だ。

国交省はネット公表に後ろ向きだったが、昨年12月末、地整局長宛てにネット公表を求める通達を出した。ただし対象は今年4月以降の変更契約で、過去の契約資料は開示しない予定だという。

21年開催の東京五輪・パラリンピックは最終的な経費が招致時の試算の約2倍に膨らみ、批判を浴びた。25年国際博覧会(大阪・関西万博)でも費用の上振れが続く。

それと同じことが、国発注の公共工事でも繰り返されている。人口減少が進む日本で、税金を財源とする公共工事のコスト管理はとても重要なテーマだ。

日本経済新聞は今後もこの問題に目を凝らしていく。

(岩崎邦宏)

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