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{{pp-vandalism|small=yes}}
{{複数の問題|独自研究=2018年3月|出典の明記=2018年3月}}
{{国際化|領域=日本|date=2018年3月}}
{{性的}}
{{Otheruses||映画|童貞 (映画)}}
'''童貞'''（どうてい、{{Lang-en-short|cherry boy, virgin}}）は、[[性行為]]を経験していない[[男性]]を指す言葉。

== 現代の定義 ==
現代の定義では、「童貞」は、
# 性交未経験の男性 (cherry boy)
# 男性が性交未経験の状態 (virgin)
のいずれかを指す<ref>[[#渋谷|『日本の童貞』p.102]]</ref>。

ここでいう「性交」とは通常は膣性交であり、[[肛門性交]]（アナルセックス）や口腔性交（[[フェラチオ]]）は含まれない。

== 童貞喪失 ==
{{See also|初体験 (性行為)}}
それまで童貞であった者が童貞でなくなる状態を「童貞喪失」や「童貞卒業」、「脱童貞（だつどうてい）」という。生まれて初めての性交（初交）を俗に「[[初体験 (性行為)|初体験]]」や「[[筆下ろし]]」という。童貞であるか否かを科学的に判断する方法は存在していない。

「あいつは女性を知らない」などの侮蔑的な表現も存在するなど、成人しても童貞であることを恥とする文化が一部にあり（[[#童貞に対する価値観|後述]]）、自らが童貞であることに対して負い目を感じる者もいる。

[[風俗店]]を利用できる年齢に達していれば、童貞喪失の方法として[[ソープランド]]の利用など、実態上膣性交を伴うサービスを金銭を払って受けることが挙げられるが、童貞喪失の判断基準は人によってまちまちである。

; 異性と性器を結合させるという物理的事実を重視するもの:[[コンドーム]]を着用しての[[膣]]への[[陰茎]][[亀頭]]先端部の挿入のみでも可
; 女性器から受ける快感によって絶頂に達するという経験を重視するもの:膣内でのピストン運動による刺激によって[[オーガズム]]にまで至ったもの（精通前など[[射精]]の有無は問わない）
; 生理学的な接触を重視するもの:膣と陰茎亀頭の粘膜同士が直接接触し、陰茎が[[愛液]]に曝露すること

[[安田徳太郎]]が『性科学の基礎知識』で実施したアンケートではたとえ幼少期の子供同士による遊戯接触であっても「本人が性行為の初体験」との認識をもっていれば、それを性交としてカウントする、としている<ref>[[#安田|『性科学の基礎知識』p.103-104]]</ref>。

[[ジェクス (企業)|ジェクス]]による日本国内の調査「ジャパン・セックスサーベイ2017」によれば、童貞は20代で4割、30代で2割、40代で1割程度存在する<ref>[http://www.glamourousbutterfly.jp/lovekatsu/gallery/ ジャパン・セックスサーベイ2017]</ref>。

== 言葉の由来と歴史 ==
「童貞」という言葉は元来[[カトリック]]の[[修道女]]を意味しており、[[1874年]]に設立された[[学校法人雙葉学園|横浜雙葉学園]]の前身としての「仏語童貞学校」<ref>『女子教育事始三』小河織衣著、p.39</ref>や、[[花村萬月]]の小説『ゲルマニウムの夜』<ref>[[#渋谷|『日本の童貞』p.26]]</ref>などにそうした意味での使用例が見られる。また、現在は『処女懐胎』と題される[[アンドレ・ブルトン]]と[[ポール・エリュアール]]が著した「{{lang|fr|L'immaculée conception}}」は、1936年発刊時は『童貞女受胎』とされるなど、[[聖母マリア]]を指す言葉としても用いられた<ref>[[#渋谷|『日本の童貞』p.104]]</ref>。英語における {{lang|en|Virgin}}、{{lang|en|Chaste}} の訳語として用いられたのは「貞潔」「廉潔」「童身」といった言葉であった。

[[1920年代]]に入ると童貞という言葉は宗教的な意味合いが薄まり、単純な「異性と未経験の状態」を意味する使用法が見られるようになる。[[1925年]]版の『[[広辞林]]』では「婦人又は男子が幼児の純潔を保持し、未だ異性と交遊せざること」と定義しており、男女の区別がなされておらず、また、人への用法ではなく、人が所持する所有物的な意味合いで用いられていた。[[1929年]]の[[浅田一]]の『童貞論』でも童貞状態にある人を指す場合は「童貞保持者」と呼称されている<ref>『童貞論』浅田一著、p.71</ref>。ただし、『言泉』（[[1921年]]）や[[澤田順次郎]]の論文「処女と童貞」（[[1927年]]）などのように、人を指す用法も少なからず存在している<ref>[[#渋谷|『日本の童貞』p.107]]</ref>。

童貞が人を指す用法としても一般化するのは[[1950年代]]以降で、また、主として男子を指す言葉として確立するようになる。[[1958年]]版の『広辞林』、[[1955年]]版の『広辞苑』などに「主として男性についていう」との言葉が追加された。こうした定義から明確に男子のみを指すようになるのは[[1970年代]]以降になってからのことである<ref>[[#渋谷|『日本の童貞』p.110]]</ref>。なお、『広辞苑』や『岩波国語辞典』などでは、現代でも「主として男性」との言葉があり、男女双方を指す用語として定義されている。

== 童貞に対する価値観 ==
[[ガイウス・ユリウス・カエサル|カエサル]]の著した『[[ガリア戦記]]』によれば、古代[[ゲルマン人]]の間では長く童貞を守れば身長が伸びたり、体力が優れていたり、[[筋肉]]が強くなったと信じられていたため、遅くまで童貞を守る者は賞賛されていた。その一方で、20歳になる前に童貞でなくなることは醜い恥の一つと見なされていた<ref>[[#カエサル|カエサル, VI. 4. 21]]</ref>。また[[キリスト教]]や[[イスラム教]]、[[ヒンドゥー教]]では、僧侶のみならず信者に対しても[[貞操観念]]を厳格化しており、[[成婚]]までの童貞性、処女性を重んじている（[[婚前交渉]]の禁止）。

[[戦前]]の[[日本]]では、1922年から1928年にかけて安田徳太郎および[[山本宣治]]が学生、インテリ層、労働者を対象に実施したセックス・リサーチにあるように、自他共の[[純潔]]を尊重し、[[結婚]]するまでは童貞を守るべきという風潮が強かった<ref>[[#安田|『性科学の基礎知識』p.132]]</ref>。

こうした[[貞操観念]]は戦後に入るにつれて次第に崩壊して行った（これは日本に限らず、宗教離れが進行したその他先進国でも同様であった）。1948年に起こったいわゆる「童貞訴訟」と呼ばれる裁判において、新婚の男性が「共同生活の義務を履行せざる」として妻に対し童貞喪失の慰謝料を訴えた事案がある<ref>『下級裁判所民事裁判判例集』p.169</ref>。ここでの結論は「女子の貞操の喪失に対する社会的評価と男子の童貞の喪失に対する社会的評価を同一に評価することは法律上妥当しない」とされており、女性が持つ「処女」の価値観と男性が持つ「童貞」の価値観の乖離が見られるようになる。[[1960年代]]に入るとこの風潮は一層強いものとなり<ref>[[#渋谷|『日本の童貞』p.111]]</ref>、批判的言説が繰り返されるようになると、それまで美徳と見られていた童貞は恥と見られるようになった<ref>[[#渋谷|『日本の童貞』p.173]]</ref>。

現代の日本において、一定の年齢を過ぎて童貞でいることを問題として見る観念が存在し、童貞ということを長い間身近な人々へ隠して秘密にせざるを得ない人もいる<ref>{{Cite news|title=日本で「中年童貞」が増加　その背景は（2/3）|newspaper=CNN|date=2015年12月27日18時56分|url=https://www.cnn.co.jp/fringe/35067033-2.html|accessdate=2020-03-27}}</ref>。[[社会学者]]の[[澁谷知美]]によれば、このような風潮が生まれるそもそもの要因として、男社会において性行為には「女性を支配する」という意味合いが含まれ、そして「そういう経験がない奴は男として半人前だ」という価値観が根底に存在するためだとしている<ref name ="澁谷_niconico> {{Cite news|title= かつて“童貞”とは妻に捧げるものだった――童貞はいつから恥ずかしいものになったの？ 社会学者・澁谷知美先生に聞いてみた
|newspaper=ニコニコニュース|date=2018年3月19日|url= https://originalnews.nico/84023}}</ref>。また、この[[理性]]に反する[[本能]]的な価値観が日本において大衆的に、特に若年層に広まっていったのが、性行為が娯楽化し、恋愛の自由化が進んだ、戦後から1970年代にかけてのことだと指摘した<ref name ="澁谷_niconico/>。さらに澁谷は、インターネット時代を迎えたことによる「フィジカルな暴力から言葉の暴力へ」の暴力の在り方の変化から、在日外国人、貧困者などと同様に童貞がネット社会における暴力的な言説の攻撃の的となり、貶められる風潮が以前より激しくなっているのではないかと指摘している<ref name ="澁谷_niconico/>。

政府による2010年の調査では、30代独身の男性の4人に1人が童貞で、同条件の処女である女性もこの割合をやや下回るのみであった<ref>{{Cite news|title=日本で「中年童貞」が増加　その背景は（1/3）|newspaper=[[CNN]]|date=2015年12月27日18時56分|url=https://www.cnn.co.jp/fringe/35067033.html|accessdate=2020-03-27}}</ref>。一部では、ホワイトハンズ（「新しい性の公共」<ref>{{Cite web|和書|publisher=ホワイトハンズ|title=ホワイトハンズとは|url=https://white-hands.jp/about/|accessdate=2020-03-27}}</ref>を掲げる[[特定非営利活動法人|NPO]]）の支援教室のように、同様の人々が集う場で童貞であるということを打ち明けて自らの体験をオープンに共有するという試みも見られる<ref>{{Cite news|title=日本で「中年童貞」が増加　その背景は（3/3）|newspaper=CNN|date=2015年12月27日18時56分|url=https://www.cnn.co.jp/fringe/35067033-3.html|accessdate=2020-03-27}}</ref>。

== 派生語 ==
; [[素人童貞]]
: [[風俗店|性風俗店]]で働いている[[風俗嬢]]、すなわち「プロ」の女性以外との性経験がない男性のことを指す<ref>{{Cite news|url= https://nikkan-spa.jp/1572401|title=素人童貞37歳「彼女はいらない、プロの女でいい」は本心か？|newspaper=日刊SPA |publisher=扶桑社|date=2019-05-18|accessdate=2024-01-01}}</ref>。
; 玄人童貞
: {{要出典範囲|「素人童貞」とは逆に、一般女性との性経験はあるが、性風俗店を利用したことのない、風俗嬢との性経験がない男性のことを指す。|date=2023年3月}}
; ○○童貞
: あることの経験がない人として使われることもある。例えば風俗へ行ったことのない人を「風俗童貞」と呼んだりして使うこともある。性的な事柄以外にも使われる。
; 童貞キラー
: 童貞好きの女性。男女が出会う場所に出没し、経験の無さそうな男性を誘惑する。自分が童貞好きであることを公にはしていないことの方が多い<ref>[https://doutei-dojo.com/killer/ 童貞キラーはどこにいる？] </ref>。
; [[童貞を殺す服]]
: 女性の服装を指す[[インターネットスラング]]。「複雑な構成のために童貞だと焦って脱がせることが困難な服」「童貞の心を打ち抜く要素を持つ服」など、諸説ある<ref>{{Cite news|language=ja|author=モトタキ|date=2016-8-5|title=「童貞を殺す服」は控えめに言って最高! こじらせガチ童貞に聞く|newspaper=[[しらべぇ]]|publisher=NEWSY|url=https://sirabee.com/2016/08/05/148900/ |accessdate=2021-9-10}}</ref>。さらに派生したものに、肩から腰にかけて大きく露出したホルターネックのセーター「童貞を殺すセーター」がある<ref>{{Cite news|language=ja|date=2017-3-23|title=「童貞を殺すセーター」がついに日本上陸! ヴィレヴァンオンラインストアで販売開始|newspaper=[[BIGLOBEニュース]]|publisher=[[BIGLOBE]]|url=https://news.biglobe.ne.jp/trend/0323/blnews_170323_2106013917.html |accessdate=2021-9-10}}</ref>。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist|2}}

== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author=安田徳太郎|authorlink=安田徳太郎|year=1950|title=性科学の基礎知識|publisher=世界評論社|ref=安田}}
* {{Cite book|和書|author=押野武志|authorlink=押野武志|year=2003|title=童貞としての宮沢賢治|publisher=ちくま新書|isbn=978-4-480-06109-6|ref=押野}}
* {{Cite book|和書|author=渋谷知美|authorlink=渋谷知美|year=2003|title=日本の童貞|publisher=文藝春秋|isbn=978-4166603169|ref=渋谷}}
* {{Cite book|和書|author=渡部伸|authorlink=渡部伸|year=2007|title=中年童貞|publisher=扶桑社|isbn=978-4594053857|ref=渡部}}
* {{Cite book|和書|author=カエサル|authorlink=ガイウス・ユリウス・カエサル|translator=[[國原吉之助]] |date=1994-04-28|title=[[ガリア戦記]]|publisher=講談社|isbn=978-4061591271|ref=カエサル}}

== 関連項目 ==
* [[処女]]
* [[喪男]]
* [[やらはた]]
* [[30歳の保健体育]]
* [[童貞判別法]]
* [[初体験 (性行為)]]
* [[筆下ろし]]
* [[キンゼイレポート]]

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[[Category:男性を指す用語]]
[[Category:経験]]
[[Category:性行為]]
[[Category:日本のセクシュアリティ用語]]

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