教員の人事評価、公平にできる……??
2024/05/01 11:35 (2024/06/10 17:35 更新)
【投稿】
福岡市立学校の教員に対する人事評価制度に疑問があります。
本年度から、教員の給与が管理職の評価によって変わることになりました。所属する学校の副校長または教頭が第1次評価者となり、校長が第2次評価者となっています。一口に管理職と言っても、さまざまな人間性があります。公平性に欠けた評価につながらないでしょうか。
制度に関する説明が突然だったようにも感じます。また、校長への評価は教育長が行うとのことですが、何を基準にどのように行うのでしょうか。校長に対して、現場の教員が評価する仕組みが無いのはなぜでしょうか。
人手不足もあり、教育現場は厳しさを増すばかりです。教員は皆、疲弊しています。そうした中、評価基準が個人の感覚に左右されかねない制度では、現場は報われません。
民間企業では同様の人事評価制度は当たり前かもしれません。しかし、ただでさえ切迫している教育現場で同様のことを行うとなると、疑問を感じている教員の声が多く聞こえてきます。
皆さま、どうお感じになるでしょうか。
【あなたの特命取材班より】
新たな人事評価制度が導入されたのは、2016年4月施行の改正地方公務員法がきっかけのようです。改正法により、地方自治体では、昇任や給与などの基礎とする人事評価を行うこととされました。
福岡市では市長部局、教育委員会ともに2023年度に給与に反映しない形で導入した後、2024年度から次年度のボーナスに反映させる形で本格導入しています。市人事課によると、制度設計などに時間がかかり、他の自治体より導入は遅れたそうです。
投稿者の疑問を市教委の担当課に尋ねてみました。ボーナスに影響する「業績評価」については「例えば、学習指導に関して『漢字テストの~点以上の子どもが~%になる』などと立てた数値目標を評価するので、主観が入る余地はないと思う」との見解を示しました。学校現場への周知に関しては「2023年度の導入前、各校長を対象とした説明会の場で話している」と答えました。
教育長による校長への評価手法ですが、「立場によって求められる能力を記載した手引きを参考にしたり、教育委員会内で情報収集をしたりして行う」とのことです。また「評価ではないが、業務目標を入力するシートの中に、意見や要望を記載する項目があるので活用してほしい」としています。
昨年度に実施する中で課題も見えてきたと言います。具体的には、評価者である管理職と、各教員との個別面談のあり方です。当然ながら、学校によって教職員数は違い、面談に要する労力や時間は異なります。対象人数が多い学校で、面談をいかに充実させるかは検討の余地がありそうです。
教員の長時間労働が社会問題となる中、市教職員組合も新たな人事評価制度については評価や面談のあり方に課題があると認識しており、市教委との話し合いを進める姿勢を示しています。