コロナ禍で経営難に陥った病院の債務保証をうたい、無登録で出資を募ったとして、警視庁は歯科医院などを運営する会社「ザ・グランシールド」(東京都中央区、破産手続き中)社長の中村佳敬容疑者(46)=東京都江東区=ら8人を金融商品取引法違反(無登録)の疑いで逮捕し、15日に発表した。
生活経済課によると、他に逮捕されたのは、信用保証会社「トラステール」(東京都千代田区、破産手続き中)代表の高橋章容疑者(61)=千代田区=や勧誘担当の元社員ら男女7人。警視庁は中村容疑者が事件を主導し、高橋容疑者らに持ちかけたとみている。
同課によると、中村容疑者らは2020年4月~23年1月、「年利20%で元本保証」などとうたい、16人からトラステールの社債への出資を無登録で募った疑いがある。この16人は計約1億3千万円を出資した。同課は、中村容疑者らが17年2月~23年2月、全国の延べ約1300人から計約80億円を集めたとみている。
「医療機関から保証料」 実績なし
勧誘を担ったグランシールド社の従業員らはトラステールについて、コロナ禍で経営難に陥り、資金調達を希望する医療機関の信用保証を手がけていると説明。出資金は医療機関の信用を担保するための資金となり、金融機関から融資を受けた医療機関が同社に支払う保証料が、社債購入者への配当金となるとうたっていた。実際はトラステールが医療機関を保証した事実はなかったという。
グランシールド社を巡っては、運営する歯科医院「デンタルオフィスX」(中央区)の歯列矯正モニターで適正な治療を受けられず、治療費も戻ってこないとして、これまで患者ら300人以上が同社を提訴。警視庁も23年6月、同社などを特定商取引法違反容疑で家宅捜索していた。この捜査の過程で今回の事件が発覚した。(御船紗子)
出資募った社員 募る後悔
「コロナで困っている医療機…