元内閣総理大臣菅義偉の長男・正剛が社員として在籍しており[17][18]、メディア事業部の「趣味・エンタメコミュニティ統括部長」の肩書で衛星放送子会社「囲碁・将棋チャンネル」の取締役を兼務する[19][20](2021年2月26日、部長職を解任され人事部付となる)[21]。
東北新社の創業者である植村伴次郎や、その息子の植村徹は2012年から2018年にかけて菅義偉に計500万円の個人献金をしていた[22]。
2016年からの正剛による高級官僚違法接待および植村による菅への500万円の個人献金以降、総務省は2018年に「囲碁・将棋チャンネル」のCS放送業務を認定した[23]。2018年にCS放送業務として認定された12社16番組のうち、ハイビジョン未対応で認定されたのは「囲碁・将棋チャンネル」だけだった一方で、ハイビジョンに対応していても落選した番組もあった[24]。
2021年2月3日ごろ、国家公務員倫理法上の利害関係者の対象となる正剛が、同法に反して総務審議官谷脇康彦、国際担当総務審議官吉田眞人、情報流通行政局長秋本芳徳、その部下の情報流通行政局担当大臣官房審議官湯本博信に複数回の会食、タクシー券、土産を提供していたことが明らかになった[25]。
この会食には、創業者娘婿で社長の二宮清隆と、放送関連事業を行うメディア事業部部長の三上義之も出席していた[26]。また、会食はスター・チャンネルの免許更新の直前に集中していたことが明らかにされた[27]。総務相武田良太は2月19日の記者会見で、正剛から接待を受けた秋本芳徳と湯本博信を20日付で官房付に異動させると発表した[28]。武田は「(接待問題と)今回の人事異動はまったく関係がない」と述べ、「事実上更迭」との見方を否定し、「重要法案の審議をお願いしなければならない中で、適材適所の配置として行うものだ」とも説明した[29]。
さらに2月22日、既に判明している幹部4人以外に9人、計13人の総務省職員が、2016年7月から2020年12月にかけて東北新社側から計39件の接待を受けていたことが総務省より報告された[30]。正剛が同席していたのは半数超の21件だった。接待を受けていた13人の中には、当時総務審議官だった内閣広報官山田真貴子が含まれており、山田は総務審議官時代の2019年11月6日夜に、東京・虎ノ門で東北新社社長、正剛ら4人と、1人当たりの飲食単価は7万4203円の会食を受けた[31]。最も接待金額が多かったのは、4回にわたる会食で飲食代やタクシー券、手土産など計約11万8000円の接待を受けた谷脇康彦総務審議官だった[32]。東北新社による接待の合計金額は60万8000円以上だった[33]。総務省は13人のうち11人について、国家公務員倫理規定上の「利害関係者からの接待」に該当するか、その可能性が高いと認定し、懲戒処分などとする方針を固めたが、山田は内閣広報官就任に伴い特別職に身分替えされているため、処分対象からは外れている[30]。20日に事実上更迭された秋本芳徳の後任となった吉田博史総括審議官は、山田の夫だった[31]。2月24日、総務省を退職済みの山田を除く11人に対し、減給や戒告などの処分が下された[34]。2021年3月1日、前日に体調不良を理由に入院していた山田は、内閣広報官を辞職した[35]。のちにNTTによる高額接待も発覚し、谷脇は三か月の停職処分を受けた上で辞職した[36]。
また東北新社は2月26日に正剛を解任・人事部付とし、社長の二宮が辞任。後任として中島信也が社長に就任することも発表した[20][21][37]。
東北新社は2017年10月、外資比率が20%を超え、放送法に違反した状態だったにもかかわらず、子会社に事業を継承していた[38]。東北新社は事業継承の前の2017年1月に事業の認定を受けた時点で、すでに外資比率が20%を超えていたが、東北新社は外資比率が20%未満であると事実と異なる申請を行い、審査する総務省による認定を受けていた[38]。
中島信也社長は参議院予算委員会で、鈴木信也総合通信基盤局電波部長に事前に外資規制違反の事実を報告をしていたと証言したが、吉田博史総務省情報流通行政局長からは「報告はないのではないか」と否定する答弁がなされた[39]。
2021年3月5日、東北新社が外資比率20.0%を超え、放送法に一時違反していたにもかかわらず認定が取り消されていなかったことを総務相が認めた[40]。2021年5月1日に、2016年に違反状態で申請し認められたチャンネルである「ザ・シネマ4K」の認定が取り消された[41]。
出典: [42]
- 連結子会社
- 持分法適用関連会社
株式会社東北新社メディアサービス(とうほくしんしゃメディアサービス、TOHOKUSHINSHA MEDIA SERVICE INC.)は衛星基幹放送事業者で、スカパー!(東経110度CS放送)をプラットフォームとしている。
2017年9月1日に設立され、東経110度CS放送の以下の3チャンネルの基幹放送事業を当社に集約した[注 1]。
- Ch.227 ザ・シネマ(番組供給事業者:AXN)CS2-ND14ch 12スロット、ハイビジョン放送
- Ch.293 ファミリー劇場(番組供給事業者:ファミリー劇場)CS2-ND14ch 12スロット、ハイビジョン放送
- Ch.310 スーパー!ドラマTV(番組供給事業者:スーパーネットワーク)CS2-ND14ch 12スロット、ハイビジョン放送
- ^ ただし、2022年10月3日、東北新社が保有しているザ・シネマの全株式を同業会社のAXN(ノジマの子会社)に売却し、2023年4月1日、運営会社である株式会社ザ・シネマがAXN株式会社に吸収合併された。