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「サフィニア」の版間の差分

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{{複数の問題
| 出典の明記 = 2013年11月30日 (土) 01:08 (UTC)
| 参照方法 = 2013年11月30日 (土) 01:08 (UTC)
| 独自研究 = 2013年11月30日 (土) 01:08 (UTC)
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[[File:Surfinia a4.jpg|thumb|right|300px|[[ガーデニング]]に用いられる「サフィニア」]]
<!--先日まで掲載されていた画像はペチュニアではあるが「サフィニア」ではないため差し替えた 11/22, 2013. -->
'''サフィニア''' ('Surfinia' <em>Petunia</em> Surfinia Series Hybrid Cultivar. 'Surfinia' ) は、[[ナス科]][[ツクバネアサガオ属]]の[[植物]]で、[[1989年]]に[[サントリー]]と[[京成バラ園芸]]が共同で作出<ref name=":1">[https://www.keiseirose.co.jp/company/history/ 会社の歩み] [[京成バラ園芸]]</ref>した[[ペチュニア]]の[[園芸]][[品種]]である。正式名称は「'''ペチュニア・サフィニア・シリーズ 'サフィニア' '''」。「サフィニア」の名称は[[サントリーフラワーズ]]の[[登録商標]](日本第2395224号)である。


ペチュニアでは初めての本格的な[[栄養繁殖]]系で、ペチュニアの[[原種]]が持つ[[長日植物]]である弱点を完全に払拭した園芸品種である。[[不稔性]]が高く、生育しても草姿が乱れず、花数が多く花期が長いという特長がある。


開花時期は4月から10月。耐寒性の低い常緑[[多年草]]、一年草であり、10月から11月に地上株は寒さで枯れるが、温度管理を適切に行えば越冬も可能である。また越冬株は1年目よりさらに大きく育つ。
'''ペチュニア・サフィニア・シリーズ ‘サフィニア’


== 概要 ==
<em>Petunia</em> Surfinia Series Hybrid Caltivar. ‘Surfinia’'''
元になったペチュニアの原種は[[ブラジル]]の[[パンパ]]原産で、サントリーの駐在員がペチュニアの原種を数系統持ち帰ったことがが[[品種改良]]の始まりとなった。従来のペチュニアは原種が持つ伸びやかさを捨て去り、花壇栽培のみに特化した品種ばかり流通していた。これは花苗の流通にもコンパクトさが求められていたためである。その固定観念から離れ、従来にない匍匐性(ほふくせい = 地面に這うように成長する性質、クリーピングとも言う)を有する。品種名「サフィニア」は、匍匐性が強いことから英語のSurfing(サーフィン)と、Petunia(ペチュニア)を合成した[[造語]]である。


サフィニアは栄養繁殖系ペチュニアの実質的な第1号成功例であるとともに、栄養系品種が商業的に成り立つことを証明した記念碑的園芸品種である。今日の栄養繁殖系園芸品種の隆盛はこの園芸品種の成功に負うところが大きい。栄養系繁殖であるため、種子が少ないことから花数が多くなり、かつ亜流の品種([[雑種]])ができにくいため商業的に独占できるため、種苗会社にとっては非常に優れた特長がある。
ナス科 ツクバネアサガオ属


1989年の発表後は急速に普及し、[[1991年]]には[[欧州]]で、[[1993年]]には北米でも販売が開始され<ref name=":1"/>、諸外国においても評価が高い。サフィニアの成功後にはバリエーションも増え、大きいものは10cm程度、小さいものは3cm程度と、大小さまざまな花を咲かせるものが現れた。花の色は赤、赤紫、紫、青紫、白、白黄、白青、桃など多彩であり、ピンク地に白の放射が入る星咲の品種でピンクの部分がハート形になる「ももいろハート」もある。2020年には黄色地に薄桃色~薄紫の紋様が入る「とらネコ」なども登場している(地色が黄色の関係で紋様が茶色に見え、その様子は正に茶色の虎猫そのものである)


サフィニアが成功すると、同業他社もペチュニア市場に類似の商品を投入し「ペチュニア戦争」と呼ばれる状況を呈するに至り、サフィニアは日本の園芸業界の寵児となった。日本で[[1990年代]]から起こった[[ガーデニング]]ブームの火付け役でもある。ベランダ園芸など狭小な場所での栽培にも適し、日本(特に都市部)の住宅事情に適合した品種といえる。
'''ペチュニア・サフィニア・シリーズ ‘サフィニア’''' (‘Surfinia’) は、[[ナス科]]ツクバネアサガオ属の植物。[[サントリー]]と[[京成バラ園芸]]が共同で[[1989年]]に開発したペチュニアの園藝品種。なお、「サフィニア」は[[サントリーフラワーズ]](株)の登録商標(日本第2395224号)である。不稔性が高く、草姿が乱れず花期が長いのが特徴で、近年急速に普及している。欧州などの諸外国でも評価が高い。ペチュニアでは初めての本格的な[[栄養繁殖]]系。ペチュニアの原種が持つ長日植物である弱点を完全に払拭した園藝品種。開花時期は4月から10月、ペチュニア・サフィニア・シリーズ ‘サフィニア’が成功した後に、品種のバリエーションも増え、現在では、大きいものは10cm程度、小さいものは3cm程度と大小さまざまな花を咲かせる物が現れてきた。花の色は赤、赤紫、紫、青紫、白、白黄、白青、桃など多彩である。10月~11月に株は寒さで枯れるが、基本的には耐寒性の低い常緑多年草である。


特に保守的な[[花卉]]流通業界の流れすら変えたのは、このペチュニア‘サフィニア’と洋蘭のシンビジウム サラジーン ‘アイス・キャスケード’の2品種による功績である。これらの2つの品種が大ヒットしたことから、従来はしなだれるタイプの鉢植えは流通業界から拒まれていたが、これらの大ヒットに伴い、流通業界主導であった荷姿もバリエーション豊かになった。消費者にとっては植物の仕立て方に対する選択肢が広がり、様々な草姿の植物を得られるようになった。


==概要 ==
== 栽培 ==
従来の一般的なペチュニアと同様、雨に弱く日本では[[花壇]]にはあまり向かない。匍匐性が強いためプランターや特にハンギングに向く。数あるペチュニアの中でも豪華な品種群である。枝がしなやかで伸びやすいため容易に樹勢の調整が可能で、摘心や切り戻しを行うことにより枝数を増やし蕾を増加させてゆく、というのが育成の基本体系である。大輪、中輪、小輪、花色、使用用途に合わせた性質に改良された品種もあるなど、種類も富んでいる。
[[File:Surfinia a4.jpg|thumb|right|250px|[[ガーデニング]]に用いられる]]
原産地は[[ブラジル]]の[[パンパ]]。サントリーの駐在員がペチュニアの原種を数系統持ち帰ったのが品種改良の契機である。従来のペチュニアは原種の伸びやかさを捨て去り、花壇栽培のみに特化した物だけが流通していた。これは商品の流通にもコンパクトさが要求されていたためである。その固定観念から離れた今までには無いクリーピングタイプである。これは流通業界の流れすら変えざるを得なくなった火付け役でもあり、日本の園藝業界の寵児であった。またこのペチュニア‘サフィニア’は栄養繁殖系ペチュニアの実質的な第一号成功例であるとともに栄養系品種が商業的に成り立つ事を証明した記念碑的園藝品種である。今日の栄養繁殖系園藝品種の隆盛はこの園藝品種の成功に負うところが大きい。栄養系繁殖であるため、種子が少ない事もあって花数が多くなる特徴があり、かつ、亜流の植物が出来にくい為、商業的に独占でき、企業にとって非常に優れている特徴がある。この植物は、生育しても草姿が乱れない重要な特徴があり、ヨーロッパなどでも人気が高い。ペチュニア‘サフィニア’が成功すると、同業他社もペチュニア市場に類似の商品を投入し、「ペチュニア戦争」と呼ばれる状況となった。 1990年代から始まる、日本におけるいわゆるガーデニングブームの火付け役でもある。特に保守的で頑なな流通業界の流れすら変えたのは、このペチュニア‘サフィニア’と洋蘭のシンビジウム サラジーン ‘アイス・キャスケード’の2つに依る功績である。これらの2つの植物が大ヒットをしたことから、しなだれるタイプの鉢植えは今までは流通業界から拒まれていたが、これらの大ヒットに伴い、保守的で流通業界主導型であった荷姿すらバリエーションが豊になり、消費者には植物の仕立て方に対する選択肢が広がりいろいろなタイプの植物を得られるようになった。


耐寒性は低いため、越冬させるには室内管理などが必要となるが、本来は多年草なので温度管理さえしっかりと行えば翌年以降も楽しむことは一応可能である。ただしナス科の植物であるため[[連作障害]]を引き起こすことがあるため、複数年にわたり健全な株状態を維持するためには、土の消毒か土を入れ替えるか、あるいは[[コンパニオンプランツ]](ナス科の場合、[[ネギ]]類や[[ニラ]]などが最適とされる)を導入するなどといった対策が必要となる。これはサフィニアだけでなくペチュニア一般や、同じナス科の園芸植物である[[カリブラコア]]などについても同様である。
==特徴 ==
従来の一般的なペチュニアと同様、雨に弱く花壇にはあまり向かない。匍匐性(ほふくせい = 地面にはうように成長する性質、クリーピングとも言う)が強いため、プランターや特にハンギングに向く。数あるペチュニアの中でも豪華な品種群である。枝がしなやかで伸びやすいため容易に樹勢の調整が可能で、摘心や切戻しを行うことにより枝数を増やしていき、蕾を増加させてゆく、というのが育成の基本体系である。大輪、中輪、小輪、花色、使用用途に合わせた性質に改良された品種もあるなど、種類も富んでいる。また、名前の「サフィニア」は、匍匐性が強い事から英語のSurfing(サーフィン)と、Petunia(ペチュニア)から得られた造語に由来している。


越冬対策の一つとして、切り戻しなどの際に生じた枝などを使って[[挿し木]]を行い、それを管理することで親株が枯れた際に備えることも可能である。挿し木苗はすぐには大きく育たないので室内管理も楽である。しかし「サフィニア」とされる品種はもとより、特定品種名が付けられているペチュニア、カリブラコア([[サントリーフラワーズ]]の「[[ミリオンベル]]」など)は、そのほぼ全てが[[特許|パテント(特許)]]が付いた登録品種となっているため、増やした苗を無許可で販売・譲渡すると[[種苗法]]に抵触するため注意が必要である。


== 脚注 ==
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==栽培方法==
== 参考文献 ==
{{no footnotes|date=2013年11月30日 (土) 01:08 (UTC) |section=1}}
なお、この項では、季節や気候は日本の東京・横浜・名古屋・大阪・福岡を基準とする。
*[[最相葉月]]『青いバラ』[[新潮文庫]]、[[新潮社]]
有る一定期間の成長期間を経て、株が充実したときからは、葉の枚数と同じ数の花が咲く様になる。その為、出来るだけ葉を増やす工夫をするのが上手に育てる上でのヒントである。
*[[サントリーフラワーズ]]の発売当時のパンフレットと概要{{Full|date=2013年11月30日 (土) 01:08 (UTC)}}。

*NHK出版『[[趣味の園芸]]』複数冊からの抜粋{{Full|date=2013年11月30日 (土) 01:08 (UTC)}}。

=====置き場所=====
屋外のよく日が当る、風通しの良い雨の当らない軒下等に置く。特に梅雨などの時期は、長期的に雨に当ると株が弱体化するため、注意が必要である。また、地上からの跳ね返りの水や土なども嫌う傾向にある。置き場所がコンクリートなどの建造物の場合、鉢内の温度上昇と照り返しの日焼けから防除するため、地表から50cm以上の高い場所に鉢を於くことが望ましい。


=====用土=====
通気性とある程度の保水性がある、水はけが良い土が好ましい。ナス科の植物に多い[[連作|連作障害]](嫌土)と、ネコブセンチュウに依る障害が発生するため、一定期間使用した土は交換する方が理想的である。


=====水遣り=====
乾燥気味な環境に生まれ育った植物から改良された物なので、灌水は乾燥気味をこころがけて管理すると結果がよい。水は地上部にかからないよう、土に直接与えるようにする。水分量は、鉢の重さを目安に行い、軽くなったら鉢から流れ出る位の水を与える。理想はしなびる寸前にたっぷりと灌水するのが好ましい。


=====肥料=====
花を沢山咲かせたいのであれば、一般的な草花用の化学液体肥料の1000倍希釈液を、週に1回程水やりの後に与える。元肥として、園芸用の化成肥料等を土に混ぜ込んでおくとなお良い結果になる。


===切り戻し・摘心===
ペチュニア類は、枝の先端の成長点に成長ホルモンを集める性質が強いため、それを摘心することにより複数の別の成長点に分散させ、枝分かれさせることが可能である。摘心には2種類の方法がある。


=====長期開花型の摘心方法=====
植えつけてから初期に1度摘心を行う。伸びている枝の先端を切り取る。その後、1、2回程度の軽い摘心を行い、そのまま開花させる。この場合、株の勢いが若干弱くなる。早い段階から開花を迎えるため、長期間の開花が可能であるが、結果として枝数が少ないため、花数は減る。


=====多花開花型の摘心方法=====
植えつけてから、初期に1度摘心を行う。その後、伸びている枝の先端を7月上旬まで調整し、株の開花を抑制する。このとき、全ての枝を同じ長さに切らないようにしたい。全てを一定の長さに切ると、花が団子状になって咲き見苦しい。コツとしては3本の枝を1セットと考え、8:5:3 の黄金比率で摘心すると自然な感じが保てて、花も塊って見苦しく咲く事もなくなる。その後、梅雨を終えてから開花させることで、株の肥大化と枝数増加による多数の開花が可能である。但し、長期的に枝を摘み続けるため、これに伴う生育障害が発生する恐れがある。開花も、長期開花型の方法に比べて抑制を続けるため、結果的に開花期は短くなる。



=====切り戻し=====
切り戻しを行うことにより、再び開花を促進する事が可能である。まず、葉が枯れてしまった枝や、間延びした枝を取り去る。適度な長さに切り詰めて、以前と同様の管理をする。枝が成長し、1ヶ月ほどで再び開花する。この際、一回り大きな鉢に移し替えて増し土をし、肥培をする事を推奨する。

===発生する病害虫===
*[[アブラムシ]]、オンシツコナジラミ、[[ネコブセンチュウ]]、[[アカダニ]] (ハダニ)、[[ナメクジ]]、[[ハモグリバエ]] (エカキムシ)。
*[[灰色カビ病]]、青立ち枯れ病、軟腐病、タバコモザイクウイルス病 など他多数。



==サフィニア・シリーズの種類==
2007年現在、メーカーが発売しているものを以下に挙げる。


;サフィニア・シリーズ
:「サフィニア・シリーズ」の中心的な一群。
:*大輪系 花の直径が、7~10cm程度
:*中輪系 花の直径が、4~6cm程度
:*小輪系 花の直径が、3cm程度


;サフィニア・エレガンテ・シリーズ
:「サフィニア・シリーズ」の八重咲き品種。


;サフィニア・フラッシュ・シリーズ
:植えつけてから、従来のサフィニア・シリーズに比べ、開花を早く迎える品種。
:*中輪系 花の直径が、4~6cm程度
:*小輪系 花の直径が、3cm程度


;サフィニア・ブーケ・シリーズ
:摘心や切戻しを行わなくても、樹形がまとまって行く品種。また、他のサフィニア・シリーズに比べ、枝が伸びにくいのも特徴。


==出典 ==
この分野の項目は殆どが企業秘密に当たることが多く、純粋な「サフィニア」としての資料は極めて少なく、カタログで品種名を知る事が出来るていどしか資料が存在しない。依って、この項目自体がウィキペディアに存在できない可能性が高い。<!--しかし、園芸文化を斬り捨てるような行為は謹んで頂きたい。あらゆる分野に門外漢なのにケチを付けては荒らす荒らしがウィキペディアに居るので付記しておく 11/22, 2013. -->
;サントリー・フラワーズの発売当時のパンフレットと概要。
;NHK出版「趣味の園芸」複数冊からの抜粋。
;講談社にて花物担当の企画部長からの直接取材。
;太田市場での現地取材。
;複数生産者からの現地取材。
;大手花卉企業数社からの電話取材。
;「Hortus Third」A Concice Dictionary of Plants Cultivated in the United Staes and Canada Staff of The L.H.Bailey Hortorium, Cornell University. ISBN-10: 0025054708 ISBN-13: 978-0025054707
;「Index of Garden Plants」/ Mark Grifftths. The New Royal Horticultural Society Dictionary. ISBN 0-88192-246-3
;「ENCYCLOPEDIA OF HORTICULTURE」最新園芸大辞典 / 誠文堂新光社 ISBN 4-416-48217-5 C3561
;「The Grand Dictionary of Horticulture」園芸植物大事典 / 小学館 ISBN 4-09-305111-9


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[ペチュニア]]
* [[ペチュニア]]
*[[アグビジネス]]
* [[サント]]
*[[サントリーフラワーズ]]
** [[サントリーフラワーズ]]
** [[花手鞠]]
* [[京成バラ園芸]]
** [[オンベル]]
* [[アグビジネス]]
* [[ガーデニング]]
* [[ガーデニング]]


{{DEFAULTSORT:さふいにあ}}
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[[Category:ナス科]]
[[Category:ナス科]]
[[Category:花卉]]
[[Category:ガーデニング]]
[[Category:ガーデニング]]
[[Category:花卉]]

2023年6月4日 (日) 08:13時点における最新版

ガーデニングに用いられる「サフィニア」

サフィニア ('Surfinia' Petunia Surfinia Series Hybrid Cultivar. 'Surfinia' ) は、ナス科ツクバネアサガオ属植物で、1989年サントリー京成バラ園芸が共同で作出[1]したペチュニア園芸品種である。正式名称は「ペチュニア・サフィニア・シリーズ 'サフィニア' 」。「サフィニア」の名称はサントリーフラワーズ登録商標(日本第2395224号)である。

ペチュニアでは初めての本格的な栄養繁殖系で、ペチュニアの原種が持つ長日植物である弱点を完全に払拭した園芸品種である。不稔性が高く、生育しても草姿が乱れず、花数が多く花期が長いという特長がある。

開花時期は4月から10月。耐寒性の低い常緑多年草、一年草であり、10月から11月に地上株は寒さで枯れるが、温度管理を適切に行えば越冬も可能である。また越冬株は1年目よりさらに大きく育つ。

概要[編集]

元になったペチュニアの原種はブラジルパンパ原産で、サントリーの駐在員がペチュニアの原種を数系統持ち帰ったことがが品種改良の始まりとなった。従来のペチュニアは原種が持つ伸びやかさを捨て去り、花壇栽培のみに特化した品種ばかり流通していた。これは花苗の流通にもコンパクトさが求められていたためである。その固定観念から離れ、従来にない匍匐性(ほふくせい = 地面に這うように成長する性質、クリーピングとも言う)を有する。品種名「サフィニア」は、匍匐性が強いことから英語のSurfing(サーフィン)と、Petunia(ペチュニア)を合成した造語である。

サフィニアは栄養繁殖系ペチュニアの実質的な第1号成功例であるとともに、栄養系品種が商業的に成り立つことを証明した記念碑的園芸品種である。今日の栄養繁殖系園芸品種の隆盛はこの園芸品種の成功に負うところが大きい。栄養系繁殖であるため、種子が少ないことから花数が多くなり、かつ亜流の品種(雑種)ができにくいため商業的に独占できるため、種苗会社にとっては非常に優れた特長がある。

1989年の発表後は急速に普及し、1991年には欧州で、1993年には北米でも販売が開始され[1]、諸外国においても評価が高い。サフィニアの成功後にはバリエーションも増え、大きいものは10cm程度、小さいものは3cm程度と、大小さまざまな花を咲かせるものが現れた。花の色は赤、赤紫、紫、青紫、白、白黄、白青、桃など多彩であり、ピンク地に白の放射が入る星咲の品種でピンクの部分がハート形になる「ももいろハート」もある。2020年には黄色地に薄桃色~薄紫の紋様が入る「とらネコ」なども登場している(地色が黄色の関係で紋様が茶色に見え、その様子は正に茶色の虎猫そのものである)

サフィニアが成功すると、同業他社もペチュニア市場に類似の商品を投入し「ペチュニア戦争」と呼ばれる状況を呈するに至り、サフィニアは日本の園芸業界の寵児となった。日本で1990年代から起こったガーデニングブームの火付け役でもある。ベランダ園芸など狭小な場所での栽培にも適し、日本(特に都市部)の住宅事情に適合した品種といえる。

特に保守的な花卉流通業界の流れすら変えたのは、このペチュニア‘サフィニア’と洋蘭のシンビジウム サラジーン ‘アイス・キャスケード’の2品種による功績である。これらの2つの品種が大ヒットしたことから、従来はしなだれるタイプの鉢植えは流通業界から拒まれていたが、これらの大ヒットに伴い、流通業界主導であった荷姿もバリエーション豊かになった。消費者にとっては植物の仕立て方に対する選択肢が広がり、様々な草姿の植物を得られるようになった。

栽培[編集]

従来の一般的なペチュニアと同様、雨に弱く日本では花壇にはあまり向かない。匍匐性が強いためプランターや特にハンギングに向く。数あるペチュニアの中でも豪華な品種群である。枝がしなやかで伸びやすいため容易に樹勢の調整が可能で、摘心や切り戻しを行うことにより枝数を増やし蕾を増加させてゆく、というのが育成の基本体系である。大輪、中輪、小輪、花色、使用用途に合わせた性質に改良された品種もあるなど、種類も富んでいる。

耐寒性は低いため、越冬させるには室内管理などが必要となるが、本来は多年草なので温度管理さえしっかりと行えば翌年以降も楽しむことは一応可能である。ただしナス科の植物であるため連作障害を引き起こすことがあるため、複数年にわたり健全な株状態を維持するためには、土の消毒か土を入れ替えるか、あるいはコンパニオンプランツ(ナス科の場合、ネギ類やニラなどが最適とされる)を導入するなどといった対策が必要となる。これはサフィニアだけでなくペチュニア一般や、同じナス科の園芸植物であるカリブラコアなどについても同様である。

越冬対策の一つとして、切り戻しなどの際に生じた枝などを使って挿し木を行い、それを管理することで親株が枯れた際に備えることも可能である。挿し木苗はすぐには大きく育たないので室内管理も楽である。しかし「サフィニア」とされる品種はもとより、特定品種名が付けられているペチュニア、カリブラコア(サントリーフラワーズの「ミリオンベル」など)は、そのほぼ全てがパテント(特許)が付いた登録品種となっているため、増やした苗を無許可で販売・譲渡すると種苗法に抵触するため注意が必要である。

脚注[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]