日経トレンディと日経クロストレンドが選んだ「2021年ヒット予測ランキング」17位は「ゆるキャン△ 第2次ブーム」。2021年1月からアニメ最新作『ゆるキャン△SEASON2』の放送がスタートすれば、ソロキャンブームがさらに加速しそうだ。

※日経トレンディ2020年12月号の記事を再構成

アニメ最新作『ゆるキャン△SEASON2』 ©あfろ・芳文社/野外活動委員会
アニメ最新作『ゆるキャン△SEASON2』 ©あfろ・芳文社/野外活動委員会

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【17位】「ゆるキャン△ 第2次ブーム」

ソロキャン文化が本格浸透
火付け役の続編アニメ放送でキャンプ熱が最高潮に達する

 キャンプブームの“火付け役”がついに帰ってくる。21年1月から3年ぶりのアニメ最新作『ゆるキャン△SEASON2』の放送がスタートする。さらに、アニメに続いて、映画の製作も発表されている。

志摩リン(左)と各務原なでしこ(右) ©あfろ・芳文社/野外活動委員会
志摩リン(左)と各務原なでしこ(右) ©あfろ・芳文社/野外活動委員会

 原作は、あfろ氏による同名漫画。15年から『まんがタイムきららフォワード』(芳文社)で連載を開始し、今は同社の漫画配信サイト「COMIC FUZ」で連載中だ。実在するキャンプ場などをモデル地に、主人公の志摩リンや各務原なでしこなどの女子高生が、キャンプを満喫する日常を描いたストーリー。18年の第1作アニメ放送から、キャンプを新たに始める人は急増。オートキャンプ人口は19年まで7年連続増加中で、アウトドアグッズも売れ続けている。20年には家電量販大手・ビックカメラがアウトドア専門店をオープンして新規参入。キャンプブームは一層熱を帯びている。

 志摩リンはソロキャンが好きで、ゆるキャン△では一人でキャンプをする様子も描いている。その影響からか、キャンプの中で新たなトレンドになっているのがソロキャンだ。群馬県のキャンプ場・北軽井沢スウィートグラスでは19年時点で、アニメ放送前の17年に比べ一人での利用者が1.5倍に増加。女性の利用者も増えているという。同キャンプ場では手ぶらで行ってソロキャンを楽しめるよう、キャンプセットのレンタルサービスも行う。

 ソロキャンへの注目度はメーカーの商品展開でも一目瞭然。アウトドアメーカーのコールマンは20年、1~2人用のテント「ツーリングドーム/ST+」を発売。他にもたき火台やバーナーをはじめ、一人利用に向くコンパクトなキャンプグッズが増えている。

 モデル地は山梨県や静岡県などを中心とした実在の場所。第1作目の1話に登場するキャンプ場のモデル地である、山梨県の浩庵キャンプ場は、「漫画の連載開始から、ちらほらファンの姿を見るようになり、アニメ放送後は今もファンの来場が後を絶たない」と言う。ゆるキャン△ファンの聖地巡礼は、一層盛り上がるに違いない。

群馬県のキャンプ場・北軽井沢スウィートグラスが用意しているレンタルセット「ソロキャンプ充実セット」。ソロキャンがしやすい環境が整っている
群馬県のキャンプ場・北軽井沢スウィートグラスが用意しているレンタルセット「ソロキャンプ充実セット」。ソロキャンがしやすい環境が整っている
ソロキャン向けのグッズの発売も多い。写真は「ツーリングドーム/ST+」
ソロキャン向けのグッズの発売も多い。写真は「ツーリングドーム/ST+」

キャンペーンも盛り上がる

 「聖地」の多い山梨県は以前から、公益社団法人やまなし観光推進機構がゆるキャン△関連の県内観光情報をまとめたサイトを展開。聖地マップやキャンペーンなどの情報をまとめている。

 最新作に向けては、20年11月から「ゆるキャン△ 週末も山梨にいます。ゆるキャンペーン△」を展開する。20年10月中旬時点では、へやキャン△で主人公たちが挑戦した「梨っ子スタンプラリー」を再現したようなデジタルスタンプラリーの実施を発表している。他にもこのキャンペーンで様々な企画を展開する見込み。キャンプ人口はさらに膨れ上がり、レジャーの主役となりそうだ。

アニメ1作目のモデル地になった、山梨県や静岡県などの聖地には多くのファンが訪れた
アニメ1作目のモデル地になった、山梨県や静岡県などの聖地には多くのファンが訪れた
「ゆるキャン△ 週末も山梨にいます。ゆるキャンペーン△」では、デジタルスタンプラリーを実施。追加企画も構想中という ©あfろ・芳文社/野外活動委員会
「ゆるキャン△ 週末も山梨にいます。ゆるキャンペーン△」では、デジタルスタンプラリーを実施。追加企画も構想中という ©あfろ・芳文社/野外活動委員会
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