<主役は君以外にいない>
必聴のエンパワメント・ソング
海外メディアで“The Princes of K-POP(K-POP界の王子様)”と呼ばれているように、これまでのSHINeeにはポップで柔らかくて元気なイメージがあったが、今回はダークでクールな少し尖った大人のグループとして戻ってきたようだ。アーティストにとって、カムバックごとに作品の色を変えたり、音楽スタイルを開拓・追及したり、年齢にふさわしいイメージに変えていったりするのは当然のことであり、むしろ真価を発揮するタイミングであるため、そこにリスナーもアーティストもおもしろさを感じていることだろう。今回、いい意味で我々の予想を裏切ってくれたSHINeeだが、決してこれまでのグループ像を消してしまったわけでもなく、お茶目な姿やメンバーの仲睦まじさは健在。なかでも、“エンディング妖精”(歌番組でパフォーマンスが終わった直後にメンバーがドアップに映るシーン)のブームが記憶に新しい。エンディング妖精に選ばれたキーの“わざと過ぎる”荒い息遣いが話題を呼び、それを求めるお茶の間のリクエストに応えるように、回を重ねるごとに、全員のエンディング妖精もレベルアップ。今では他のアーティストも凝ったエンディング妖精に挑戦するという、一種の歌番組のお決まりコーナーを作ったのだ。
▲ファン作成のエンディング妖精まとめ映像
数年のブランクがあったとは言え、それを感じさせない(むしろパワーアップした)歌声とダンスで、新しいファンも取り込んでいったSHINeeは、今年で日本デビュー10周年を迎え、それを記念したオンラインファンミーティング【SHINee WORLD J Presents ~Bistro de SHINee~】を5月に開催した。
そこで初披露した「SUPERSTAR」と「SEASONS」は今回リリースされたミニアルバム『SUPERSTAR』にも収録されており、早くもファンの間で「神曲!」と話題に。軽快なリズムに乗せて、「誰かと比べるのではなく、自分らしさを尊重することの大切さに気づいてほしい」という彼らからの温かいメッセージが込められた「SUPERSTAR」は、老若男女問わず誰もが一度は聞いてほしいエンパワメント・ソングだ。そして簡単に会えない今だからこそ伝えたい、SHINeeがシャヲルへ捧げる「Closer」と「SEASONS」からは、離れていても変わらない愛が伝わってくる。
▲「SUPERSTAR」
また前述した「Don’t Call Me」のJapanese Ver.は、ドラマチックな歌詞をそのまま日本語に変換。噛み合わない男女間の心情の苦しみを題材にした激情的な歌詞と、これまで以上に前面に出したダンス(テミン曰く「過去最高レベルの大変なダンス」)と挑発的なサウンドが印象的な本曲は、内容は異なるが事務所の先輩・東方神起の「Why? (Keep Your Head Down)」に通じるものを感じる。そして7thアルバム『Don’t Call Me』のリパッケージ盤のタイトル曲「Atlantis」は、愛する人を通して初めて向き合う感情を未知の世界である“アトランティス”に例えたラブソング。ミュージックビデオでジェンダーレスな衣装を身にまとったSHINeeは新鮮ながらも、同時に過去にファッション・ブームも作り出してきた彼ららしさも出ている。撮り下ろしフォトブックやビジュアル写真の撮影現場を追ったDVDなど、ここでしか見られない貴重な特典コンテンツもあり、ぜひ手に取って楽しみたい。
▲「Atlantis」
年上メンバーの兵役活動によりグループ活動を休止していた間、テミンはソロとしてボーカルとダンスに磨きをかけ、妖艶な魅力で独自の路線を築いてきた。韓国・日本でオリジナル作品のリリースとそれに伴うツアー、“K-POP界のアベンジャーズ”ことSuperMでは中心メンバーとなってグローバル活動を率先し、デビュー作品で、米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”初登場1位を獲得するなど、この数年で格段に実力と名声をあげていった。彼の高いパフォーマンス・スキルに追いつくために、兵役活動から戻ったばかりのオンユ、キー、ミンホはかなり努力をしたことだろう。SHINeeの名を守り続けてきたテミンは、ここ最近では、世界14組のアーティストが集結した「チーム コカ・コーラ」の公式ソング「Colorful」にも参加している。5月末からテミンは兵役活動に励んでいるため、また全員揃った姿が見られる日は少し先になりそうだが、今度はオンユ、キー、ミンホがどのような活動で私たちを楽しませてくれるのか、今後の活動に期待が膨らむ。