[東京 4日 ロイター] - 前週の日本株式市場で、過去最大規模の攻防戦が繰り広げられていた。世界株安が連鎖する中で、海外勢が大量の売りを出す一方、国内の個人投資家や「公的資金」が買い支える対抗図だ。ただ、相場の主導権を握っているのはやはり海外勢。金融緩和効果や世界経済減速への疑念が強まるなか、リスクオフ再開の気配を見せている。
<海外勢はアベノミクスに疑念も>
2015年の海外勢の日本株売買が売り越しに転じた。年初から8月第1週までに現物株と先物合計で約3.4兆円買い越していたが、8月第2─4週で計3兆6850億円の売り越し。特に第4週は1兆8830億円と2008年8月からのデータで最大の売り越しとなった。
日本株だけが売られたわけではない。米バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによると、8月26日までの1週間に、世界の株式ファンドから02年の調査開始以来、最大となる295億ドル(約3.5兆円)が流出した。
その過去最大規模の「大波」の中で、日本株のポジションも縮小されたわけだが、注目されるのは、売りの主体がヘッジファンドやCTA(商品投資顧問業者)など短期筋だけでなかったことだ。長期資金の海外投資家も、日本株を売り始めている可能性が大きい。
ドルベースの日本株が今春以降、急上昇。通常は為替ヘッジをしない海外の長期投資家にとっても利益が乗る水準になっていたことで「益出し売りをしやすかった」(外資系投信)という。4日終値でも、ドルベースの日経平均.N225は、依然として前年比プラス圏だ。
だが、別の見方も浮上している。「日本経済に対する疑念を持つ海外投資家が増えてきた」と、ある外資系証券エコノミストは指摘する。消費、生産、設備投資、物価、いずれも停滞感が強まる中で、アベノミクスへの信頼感が低下してきたことも、日本株売りの背景にあるという。
「今の日本は、政治、経済とも、いい印象を受けない。日銀が追加緩和しても輸入物価だけ上がってしまえば、マイナス効果が強く出てしまう。政策にも手詰まり感が出ている」とJPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、重見吉徳氏は話す。
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