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[東京 3日] - 中国を中心に足元で起こっていることは、1990年代のメキシコ危機やアジア危機の発端とほぼ同じ構図である。端的に言えば、バランスシート上の「通貨のミスマッチ」だ。
つまり、長期に及ぶドル安・米金利安という環境下、通貨(人民元)の変動がほとんどない、あるいは緩やかに上昇することを前提とした投資が、特に中国を中心とした金融市場で起こっていたと推測される(いわゆるドルのキャリートレード)。
むろん、こうしたポジションはすでに米国の利上げ準備や中国の金融緩和により国内調達環境の改善が見られ、昨年来徐々に縮小されつつあったと考えられるが、今回の市場の動揺を見る限り、相応の残高があった可能性がある。
国際決済銀行(BIS)の6月の四半期報告書によれば、米国外のドル建て債券発行額は2015年3月末時点で8兆6280億ドルに上る。2009年の金融危機時から見て、3割強も増えている。
また、1月に発表されたBISのワーキングペーパーは 米国外のドル調達の主体は2009年以前では欧州や日本といった先進国中心だったが、それ以降では新興国向けの伸びが顕著であると指摘している。
同じくBISが公表している25カ国の新興国向けの与信状況を見ると、中国向けは他国比で相応に大きいことが確認できる。経済規模に鑑みれば、この与信状況も違和感なく、同様にドルの調達も相応の規模だったと思われる。現在、こうしたいわゆる緩和マネーが世界の金融市場に与える影響を測る努力が国際機関を中心に行われているところだ。
<必要かつ不可避だったアンワインド>
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