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できごと
【関西事件史】広田事件 3年後の秋~大阪拘置所で
事件当時、自分は足をけがしていたが、犯人が足を引きずっていたとする目撃証言はひとつもない。そもそも大阪での事件のとき、まだ自分は大阪に着いていなかった-。
「世間に言いたいことなんて別にない。裁判では自分のとった行動をありのままに言うだけ。被告人質問が始まったら本当のことがわかるはずだ」
無罪を主張している以上、もっとも知りたかった犯行の動機について質問してもまともな答えが返ってくるはずもない。これ以上、係官を刺激しないよう世間話に切り替えた。
「拘置所では、月刊誌をよく読んでる。『文春』『現代』『宝石』…。政治に興味がある。次の総理? 竹下(登元首相)だね。政治は数の力だからな」
この年の11月、第3次中曽根内閣の跡を継いで誕生する竹下内閣のピタリと言い当てた後、こう言った。
「おれはグリコ(森永事件)も朝日(阪神支局襲撃事件)も興味がない。気になるのは元警視庁警部の事件ぐらいかな。同僚だからなぁ」
元警視庁警部の事件とは、昭和59年11月、元警視庁警部だった宝石ブローカー(当時48歳)が、埼玉の女性資産家らを殺害した事件のこと。やはり死刑が確定したが、執行されることはなく、3年前の暮れ、元警部は東京拘置所で病死した。
事件発生から27年。大阪拘置所に身柄を置かれているとされる広田は今年、68歳になった。(敬称略)
(夕刊フジ 元事件担当T)
◆広田事件(警察庁指定115号)◆
事件の6年前に郵便局強盗事件で逮捕され、仮出所中だった広田雅晴・元京都府警巡査部長が、昭和59年9月4日、京都市北区の公園で警ら中の警察官(当時30歳)から銃を奪って殺害。その日のうちに大阪市都島区の消費者金融に押し入り、男性社員(同23歳)を射殺、現金を奪って逃走したとされる。広田元巡査部長は事件翌日、逮捕され、平成9年、最高裁で死刑が確定した。現在、再審請求中。
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